こんにちは。はじめまして。そうでない方は大変お世話になっております。 @bussorenre です。
表題の通り、リクルートを退職しました。 2015年に新卒で入社して6年半近く居たことになります。
大企業を辞めたとなると、「なにか悪い理由があるんじゃないだろうか?」と邪推されがちですが、残念ながらそのようなご期待に沿う事は出来ません。むしろ、リクルートのOBOG、あるいはソフトウェアエンジニアを中心としたIT界隈の人達からすれば「なんで6年半も長いこと居たの?」という事が気になるのかなと思います。自分の反省と今後の展望を世界に垂れ流させていただければなと思います。
なぜ6年半も居たのか?(あるいは、6年半で辞めたのか)
まず、リクルートには「フロンティア」という退職金制度があり、これは一定期間の勤続年数を超えて退職すると、退職金が跳ね上がるという制度です。世間一般で言う早期退職制度のような物です。大体みんな退職金ボーナスを受け取るタイミングで退職します。(定年退職者が居ないと言われる理由の最も大きな理由がこのフロンティア制度なのではないかなと自分は考えています)
この制度は雇用側の視点に立つと、お金はかかるけど人材の流動性を確保し若返りを達成しつつ、かつ退職タイミングを見極めやすいという点で優れています。日本では正社員を解雇する事は非常に難しく、多くの企業が若返りに失敗する中、リクルートはかなり若い人を中心に回っています。
しかし、個人の視点に立つと、6年半というのは非常に長い期間でもあります。特に新卒でリクルートに入社する人は、将来的に起業を目指している方が非常に多く、「実践的な経験を身につける訓練所」として認識している人が強いです。そんな人達にとって6年半は非常に長く、ほとんど3年以内に辞めてしまう会社でもあります。
しかし、それが悪い事かと言われるとそうでもないと思っており、辞めていく同期を見送る際も「自分のやりたい道が明確になったのか。すげーな。頑張れよ」という気持ちで過ごしてきました。
同じグループ企業だけど、全然違う会社を3社経験したと思ってる
長い間いることになった理由は「自分が独立したり転職してまでやりたい事が明確ではなかったこと」もあるのですが、「新規事業開発室」「RMP」「Quipper」という全く毛色の異なる組織に属していたことも関係しています。
大企業ならあるあるな話ですが、事業部が異なれば当然そこにいる人も文化も変わるわけで、部署異動は、別の会社への転職と同じくらいインパクトのある環境変化でした。同じ「リクルート」というグループ企業ですが「新規事業開発室」「RMP」「Quipper」では大きく異なりました。最後のチームは某動画配信サービスからの転職者が多く、実質4社分の文化を経験したことになります。(本当か?
特に RMP のエンジニア組織は私にとっては非常に居心地がよく、同時にソフトウェアエンジニアとしても大きく成長させていただいた組織であります。上司・同僚の皆々様には感謝をいくら述べても足りないと思っております。
新規事業開発部から、RMPのチームへの異動を推薦をしてくださった竹迫先生(セキュリティ&プログラミングキャンプ 2009 の講師を担当してくださった恩師でもあり、社内のエンジニア組織のリーダーとしても私を育ててくださった恩師でもあります)。
前部署での失敗を引きずっていた私に「bussorenreくんには休憩と、自信をとり戻す時間が必要だ」と長い目で見てマネージャーを務めてくださった @rtsutakiさん。
「bussorenreくんは絶対Scalaのセンスがある。書けばわかる」とScalaチームに推薦してくださった、@ainoyaさん、@ma2k8さん、@mpon さん。
Scala 始めたての頃、非常に多くの私のコードをレビューしていただいた @y-yu さん
チームリーダー・スクラムマスターに推薦してくださった、マネージャーの皆様。
全然未熟なリーダーでしたが、一緒にチーム開発を走っていただいた、案件チームの皆様。バックエンド開発を中心としたScalaチームの皆様
最後、退職前のうだうだにマネージャーとして付き合ってくださった @suikwasha さん
あまり書くとエンジニアが全て列挙されてしまうので、よろしくないと思って端折ってしまって申し訳ありません(最初は全員列挙してたんですが、いやそれはそれでアカンなと重いバッサリ削除しました…)。ですが、開発チームの皆様には本当にお世話になりました。
コロナ渦で直接ご挨拶できなかったので、この場を借りて大きな感謝を申し上げます。
控えめに言って最高のエンジニア組織だったと思ってます。
なぜそんな最高のエンジニア組織を辞めるのか?
少なくとも私にとってはオアシスのような環境で幸せに暮らしてきたわけですが、この環境が成り立つためには大きく2つの条件が必要だと考えています。
- 事業が儲かっていること(成長していること)
- 高度に自己組織化されたチームであること
まず、金を稼ぐことは必須です。どんなに良いエンジニアを良い給料で雇用しようと思っても、事業が成功していなければ話になりません。私が所属していたチームはまさに成長の中にある事業でしたので、エンジニアに限らず、企画・コンテンツ製作・営業とあらゆる人材リソースに投資されていました。
一方、成長性がないと判断された事業は潔く撤退します。その判断の速さはリクルートの素晴らしいところなのですが、そうなったら後は滅びるだけです。そこで培った文化もプロダクトも除却を待つだけです。これはあまりにも寂しいし辛い。自分達で作ってきたサービスに自ら鉄槌を下す経験を何度かしてきました。
また、高度に自己組織化されたチームでないと、そこはただの温泉になってしまいます。つまり、自ら意見を持ち目標を立て、プロダクトの成長を技術視点で提案し実行できないと内製エンジニアに価値はなく、言われたことを作るだけのエンジニアになってしまうと、「じゃぁ外注のほうがコスト安いしオフショアでもやる?」となってしまいがちです。
「高度に自己組織化されたチームが事業の成長に貢献する」という状態になって初めて心理的安全性を生むチームとして成立します。
「自分は先輩や上司が築き上げてきた組織に乗っかっただけで、もしそのような環境がなくなれば死を待つだけだったのではないか?」という疑問が2年前くらいから生じていました。そうなったら転職ガチャを引けば良いのかもしれませんが、そこはエンジニアらしく、0から作ってみたくなったというのが、第一の退職理由です。
2つ目の理由として、上記の疑問を持ち始めたのと同時期くらいに、同期がだいたい辞めて居なくなりました。前節で述べたとおり、リクルートはやりたいことが見つかった奴から退職する会社ですので、「起業して会社が当たったら焼肉おごってくれ」くらいのノリで見送っていたのですが、いざ自分ひとりになると、さて、どうしたものか。と思い悩むようになりました。30歳になった今年、「もう30歳か。人生意外と短いかもしれないな」と感じ、「どうせ短いなら盛大にチャレンジしてから死のう」と思って会社を退職しました。
ソフトウェアエンジニアとしての成長ももちろんでしたが、ビジネス的な観点での成長。特に新規事業開発室に2年近く居たことは、かなり多くの視点を得て勉強になったと思っています。当時は事業リーダー達の思考プロセスが全然理解できず苦しんでいたのですが、今ではそれがわかると言うか、「あ~昔先輩たちが言ってたことは、こういう事だったのか!」と、毎日のように再発見を繰り返しています。
何人もの同期がベンチャー企業の経営層として奮戦しており、先を行く同期という存在ほど得難いものはなく、そのような様々な出会いがリクルート時代にあった事は感謝してもしきれないと思います。
退職して何をするのか?
ジザイエ という会社をやっています。今の所VPoE というポジションを担っていて、CTOは現在空席です。将来的に自分がCTOを名乗るかもしれませんし、別のメンバーが担当するかもしれませんし、外部から招致するかもしれません。完全に未定です。が、今現在は、ソフトウェアエンジニアのチーム全体のリーダーという立ち位置になります。
会社自体の説明がまだ難しく、多くのことを語るための準備を目下進めている、というステータスになります。(でも、ベンチャー企業が半年後に事業転換してることなんて当たり前だし、昨日までやってきたことと違うことを始めることはわりと普通だから、とりあえず今の状態を伝えたら良い気もする…??? ZENNA というサービスを運営してまして、それについてはぜひ 事業成長を加速させる開発業務に携わるフロントエンジニア募集! - 株式会社ジザイエのWebエンジニアの採用 - Wantedly などをぜひご覧ください。エンジニア募集しております)
また、それはそれとして「エンジニアの育成」の活動にも再び注力していきます。これは僕の個人事業になります。 色々な方に手を差し伸べていただきながらここまで来れたので、少しでも誰かの力になることができれば、という思いでさせて頂いております。
具体的には Tech Train さんに、メンターとして登録しています。 https://techbowl.co.jp/techtrain/mentors/39
幅広く質問を受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。
おわりに
ベンチャー企業の殆どが失敗すると言われている中、周囲では起業チャレンジャーが多く、当初はそのモチベーションの理由がわかりませんでした。成功している人もいれば失敗している人もいる。失敗しても何度も挑戦し続けるメンタリティは自分には真似出来ないと思ってました。しかし、今ではその理由がわかります。
結局、自分がやりたいことをやるには自分で環境を作るしかないのです。自らの生存に適した環境を生み出してきたからこそ、挑戦者は生存者なのであり成功者になり得るのだなと。 生きるためにやるのです。人生は短いのです。元気に生きていればこそ出来ることです。
失敗する気は毛頭ないけど、失敗したら笑ってケーススタディの一つにしてください。成功したらみんなで焼き肉だ!!!!